I wish + 仮定法の意味と使い方
I wishのうしろの動詞を、時間をひとつ過去へずらして置く形。ずらした分だけ、そうなっていない現実との距離を表す。願いというより、現実がそうでないことの表明に近く、hopeとは指しているものが違う。
どういう表現か
wishのうしろに文が来るとき、その文の動詞は時間をひとつ過去へずらして置く。
- 今の話 →
I wish I had a car.(今、車を持っていない) - 昔の話 →
I wish I had had a car.(あのとき、持っていなかった)
ずらすのは時間を言うためではない。ずれた分が、現実との距離になっている。I wish I have a car.と時制をそろえて書けないのは、距離がゼロになると「そうなっていない」が消えてしまうからである。
hopeとは指しているものが違う
日本語ではどちらも「〜だといい」と訳せてしまうが、英語では役割が分かれている。
| 言い方 | 話し手が思っていること |
|---|---|
| I hope it stops raining. | まだ分からない。やむ可能性がある |
| I wish it would stop raining. | やんでいない。今の現実がそうである |
hopeはこれからに向いていて、wishは今の現実に向いている。だからwishの文は、願いを言っているようでいて、実際には現実の不満を言っていることが多い。
wereの話
I wish I wasとI wish I wereはどちらも耳にする。規範として正しいとされるのはwereのほうで、主語がIでもheでも形が変わらない。
- 改まった文章・歌詞 →
wereが多い - 日常の会話 →
wasも普通に出る
どちらでも意味は変わらない。読むときに迷う必要はなく、自分で書くときだけ、場面に合わせて選べばよい。
使えない形がある
wishにはまったく別の使い方があり、そちらは仮定法にならない。
I wish you a happy birthday.(相手に何かが訪れることを祈る)I wish to speak with you.(改まったwant to)
この2つはうしろに文が来ていない。目的語が2つ並んでいるか、toが続いているときは別の型だと見てよい。
また、起こりうることには使いにくい。I wish you come tomorrow.と言うと、来ないことが決まっているように響く。来てほしいならI hope you come tomorrow.になる。
訳すときに気をつけること
「〜を願う」と訳すと、話し手が前を向いているように読めてしまう。wishが伝えているのはそうなっていない今なので、日本語では次のような形に寄せると近くなる。
- 「〜ならいいのに」
- 「〜だったらよかったのに」
- 「〜でないのが残念だ」
とくにhadが入った形は取り返しがつかないことを言っているので、「よかったのに」まで訳し切ると、悔いの重さが落ちない。
自作の例文
この節の例文はすべて書き下ろし。既存の曲から引いたものではない。
-
I wish I were taller.
もう少し背が高ければよかったのに。
-
I wish you had told me sooner.
もっと早く言ってくれていたらよかったのに。
-
She wishes she could start over.
彼女はやり直せたらいいのにと思っている。
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