Girlfriend / Avril Lavigneの歌詞和訳と意味
本人にとって初のアメリカ1位になった曲。サビだけを7か国語で録り直した版があり、日本語版も存在する。ただし歌える日本語と意味を伝える和訳は守るものが違う。言い方の強さそのものが中身なので、意味だけ写すと別の曲になる。
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公式のミュージックビデオ。曲そのものはこちらで。
| アーティスト | Avril Lavigne |
|---|---|
| 発表年 | 2007 |
| 収録アルバム | The Best Damn Thing |
ここが分かると聴こえ方が変わる
I think you need a new one
新しいのが要ると思うけど
oneが指しているのは前の行に出た相手のことで、英語は 一度出た数えられる名詞をoneで受け直せる。日本語にこの代用形は無い。選べるのはもう一度言うか言わずに済ませるかの二択で、繰り返すとくどく、省くと何のことか薄くなる。訳文は省くほうを採って、その薄さを「けど」の言いさしで補っている。 英語が1語で済ませているところに、日本語は別の仕組みを当てている形になっている。
I could be your girlfriend
わたしがなってあげてもいいんだけど
couldをここで「できる」と取ると能力の話になり、行の調子が変わる。このcouldは申し出で、しかも押しつけない言い方として選ばれている。日本語では能力と申し出が別の形になるので、「なれる」ではなく「〜てもいい」を使うことになる。英語の助動詞は可能性・申し出・許可を1語に畳んでいるぶん、訳す側がどれなのかを毎回決めなければならない。決めた瞬間に、原文が持っていた曖昧さは訳文から消える。
型どおりのポップパンクが、本人初のアメリカ1位になった
2007年2月、アルバム『The Best Damn Thing』の先行シングルとして出た。共作は本人とDr. Luke(Lukasz Gottwald)で、プロデュースもDr. Luke。
本人にとって初めてのアメリカ1位にあたる曲で、Billboard Hot 100の2007年5月5日付の号で首位に立っている。
音としては、速いテンポと単純なコード進行に覚えやすい旋律を乗せたポップパンクの型そのもので、2000年代の英語圏でいちばんよく売れた形をしている。目新しいことをしていないのが、この曲の強さでもある。
サビを7か国語で録り直している
曲そのものの記録はWikipediaの項目にある。
この曲には、サビだけを別の言語で歌い直した版が7つある。
スペイン語・フランス語・イタリア語・ポルトガル語・ドイツ語・日本語・中国語。
英語圏の歌手が、世界の市場へ同じ曲を出し直すときの売り方の一例で、日本語版が存在する洋楽という点で、このサイトの読者には引っかかりやすい。
ただし、こうして作られた各国語版は訳ではない。音数と口の動きに合うように書き直したもので、英語の歌詞を日本語にしたらどうなるかという問いには答えていない。
この2つは、そもそも守るものが違う。
| 歌える日本語 | 意味を伝える和訳 | |
|---|---|---|
| 先に決まっているもの | 音数・アクセント・母音の並び | 原文が言っていること |
| 削ってよいもの | 意味 | 音数 |
| 良し悪しの基準 | 歌ったときに気持ちよく乗るか | 原文とずれていないか |
片方を守ると、もう片方は必ず犠牲になる。
このサイトが作っているのは後者である。だから日本語版のサビが既に存在していても、それを参照しない。参照すると、英語の歌詞の意味ではなく、日本語版の歌詞を説明することになる。
この曲では、その2つを同じ曲で並べて聴ける。
似ていると訴えられ、和解している
2007年7月、The RubinoosのTommy DunbarとJames Gangwerが、1979年の自作曲と似ているとして著作権侵害を主張し提訴した。
2008年1月までに、内容を公表しない形で和解している。その後、原告側は本人とDr. Lukeに落ち度は無かったとする共同声明を出した。
英語圏のヒット曲では、この種の訴訟はさほど珍しくない。そして多くが金銭による和解で終わり、どちらが正しかったのかは公にされないまま残る。「訴えられた曲」と聞いて盗作だったと決めつけるのは早い、というのがこの件の教訓にあたる。
YouTubeで最初に1億再生へ届いた動画
2008年8月、この曲のミュージックビデオがYouTubeで初めて1億回再生に到達した動画になった。
いまとなっては小さい数字だが、「動画の再生数が曲の指標になる」という見方が始まった地点として記録に残っている。
言い方の強さが中身なので、意味だけ写すと別の曲になる
この曲は、言っていることの内容そのものは短い言葉で足りる。にもかかわらず強く響くのは、言い方のほうに中身があるからである。
日本語で語気を作っているのは、おおむね次のあたりになる。
- 語尾。言い切るか、問いかけるか、途中で止めるか
- 語順。言いたいものを前へ出すと押しが強くなる
- 繰り返し。同じ語を重ねると勢いが出る
- 音の短さ。短い語で刻むほど強い
このうち繰り返しと音の短さは、英語の歌詞も同じように使える。重ならないのは語尾と語順のほうである。英語は語気を語の選択と強勢に預けていて、文末の形では作らない。語順も、日本語ほど自由に入れ替えられない。
つまり英語側が使っている手段の一部は、日本語にそのまま持ち込めない。やることになるのは、上の一覧から日本語で効くものを選び直すという作業である。
判断のもとになるのは、意味ではなくその行が曲の中で果たしている役である。挑発している行、突き放している行、余裕を見せている行。役を先に決めて、それに合う強さの作り方を当てる。
意味だけを正確に写した訳文が、原曲を聴きながら読むと弱く感じられるのは、この作業を飛ばしているときである。語が合っているかどうかと、役を果たしているかどうかは別に見る必要がある。
訳が割れるのは、girlfriendの語義と日本語版の存在
- 題名のgirlfriendが2つの意味を持つ。恋人と女友達のどちらにもなり、英語は文脈だけで区別する。日本語に置いた瞬間に、その曖昧さは消える
- 口語の速さ。テンポが速く、1行が短く切れる。日本語は同じ内容に音数を多く使うので、丁寧に訳すほど曲から遅れる
- 語気。上の節のとおり、英語と同じ手段では作れない。日本語で効く作り方を選び直す
- 日本語版のサビが既にある。歌える日本語と和訳は守るものが違うので、参照せずに別物として扱う
語句解説
- girlfriend
- 恋人としての「彼女」と、女性どうしの「女友達」の両方を指しうる語。どちらの意味かは文脈だけが決めるので、日本語に置き換えた時点で曖昧さが消える。この曲は前者の意味で使われている。
- ポップパンク
- パンクの速さと単純なコード進行に、覚えやすい旋律を乗せた形。2000年代の英語圏でよく売れたジャンルで、この曲はその型のいちばん分かりやすい例のひとつにあたる。
- 楽曲の類似をめぐる訴訟
- 英語圏のヒット曲では珍しくない。旋律やコード進行が似ていると主張されて起きるもので、多くは金銭による和解で終わり、どちらが正しかったかは公にされないまま残る。
よくある質問
Girlfriendはどんな曲ですか?
2007年2月に出た、アルバム『The Best Damn Thing』の先行シングルです。本人とDr. Lukeの共作で、プロデュースもDr. Lukeが手がけています。
日本語で歌っている版があるのはなぜですか?
サビを7か国語で録り直したためです。スペイン語・フランス語・イタリア語・ポルトガル語・ドイツ語・日本語・中国語の版があります。世界市場向けに同じ曲を出し直す売り方の一例です。
訴訟になったと聞きましたが、どうなりましたか?
2007年7月にThe Rubinoosの2人が、1979年の自作曲と似ていると主張して提訴しました。2008年1月までに内容を公表しない形で和解し、その後に原告側が本人とDr. Lukeに落ち度は無かったとする共同声明を出しています。
題名のgirlfriendは「彼女」ですか「女友達」ですか?
この曲では恋人の意味です。英語のgirlfriendはどちらの意味にもなり、文脈だけが区別します。日本語にすると、その曖昧さは訳した時点で消えます。