See You Again / Wiz Khalifaの歌詞和訳と意味
映画『ワイルド・スピード SKY MISSION』のために作られ、撮影中に亡くなったPaul Walkerへの追悼として書かれた曲。2015年に世界でいちばん売れた曲になった。追悼の曲なので、訳では言い切りの強さと敬語の距離が難所になる。
この曲を聴く
歌詞の全文と全訳は、動画のほうで曲に合わせて流れる。通して味わうならこちらから。
| アーティスト | Wiz Khalifa |
|---|---|
| 発表年 | 2015 |
| 収録アルバム | Furious 7(サウンドトラック) |
ここが分かると聴こえ方が変わる
We've come a long way from where we began
出会ってから長いこと、ずっと一緒だったよな
原文は距離で測っている。come a long wayは長い道のりを来たという言い方で、 from where we beganのwhereも場所である。訳文にはその道のりが無い。代わりに「出会ってから」と時間の起点になり、「ずっと一緒だった」と関係の継続の話になっている。同じ内容を、原文は空間の比喩で、訳文は時間と関係で言っていることになる。英語は人生や関係を道のりに喩える言い方を日常的に持っているが、日本語で「遠くまで来た」と直訳すると移動の話に読まれやすい。比喩をそのまま運ぶか、比喩が指しているものへ置き換えるか、という選択で、 この訳は後者を採って、比喩を1つ手放している。
Hold every memory as you go
これまでの思い出を全て抱えて
原文のHoldは命令形で、行がそこで一度閉じる。訳文の「抱えて」はて形なので閉じない。次の行へ続く形になっている。日本語のて形は、命令にも、並列にも、理由にもなれる用途の広い形で、ここでは「そうしたうえで先へ行け」という続き方をしている。 as you go(行きながら)が訳文に語として出てこないのも、 て形が続くこと自体が「行きながら」を担っているためである。英語が語を足して示す関係を、日本語は活用の形で示せる。 行の切れ目の数が原文と訳文で変わるのは、この違いから起きている。
撮影中に亡くなった俳優への追悼として書かれた
2015年の映画『Furious 7(日本題:ワイルド・スピード SKY MISSION)』のサウンドトラックのために作られた曲である。プロデュースはCharlie Puth、DJ Frank E、Andrew Cedarで、この3人はWiz Khalifaとともに作詞作曲にも入っている。曲そのものの記録はWikipediaの項目にある。
この曲が書かれたのは、シリーズに出演していた俳優Paul Walkerへの追悼としてである。2013年11月30日、単独の自動車事故で亡くなった。映画の撮影中の出来事だった。
発売は2015年3月10日で、映画の公開より前。サウンドトラックの先行シングルという位置づけである。
2015年に世界でいちばん売れた曲になった
数字の並びが、この曲の届き方をよく表している。
- Billboard Hot 100で通算12週の1位。連続ではなく、間を空けて戻ってきている
- イギリスのシングルチャートで2週連続1位
- オーストラリア・オーストリア・カナダ・ドイツ・アイルランド・ニュージーランド・スイスでも1位
- 2015年に世界でいちばん売れた曲。IFPIの集計で、売上と再生を合わせ2,090万ユニット
Billboard Hot 100での12週は、Lose Yourselfと並ぶ数字である。ラップの曲としてはアメリカ史上2番目に長い首位で、上にいるのは1曲だけになる。
配信の記録も残っている。アメリカで1日あたりの再生が最多だった曲として一時期Spotifyの記録を持ち、世界とイギリスで1週間の再生数の記録も作った。ミュージックビデオは2017年7月10日から8月4日まで、YouTubeで最も再生された動画だった時期がある。
賞では第58回グラミー賞で3部門、第73回ゴールデングローブ賞でも主題歌賞にノミネートされている。
追悼の曲を訳すときは、強さの置き方が難しい
この曲の題名see you againは、日常では別れ際の軽い言い方である。goodbyeほど重くなく、また会うことを前提にしている。
この曲は、もう会えない相手にその言い方を使っている。
日本語には、この軽さと重さの両方を同時に持つ言い方が無い。
- 「またね」と訳すと軽すぎる。追悼の場に置くと違和感が出る
- 「また会おう」と訳すと決意が強く出すぎる。原文はそこまで言い切っていない
- 「いつかまた」と訳すと丁寧になるが、相手との距離が遠くなる
つまりこの題名は、訳語を1つ選ぶだけでは収まらない。曲全体でどのくらいの距離感を取るかを決めて、そこに合う言い方を選ぶことになる。
訳が割れるのは、距離感と「言い切るかどうか」
- 敬語の距離。追悼の曲なので丁寧に訳したくなるが、原文は親しい相手に話しかける言葉遣いである。丁寧にすると他人行儀になる
- 言い切るかどうか。日本語は文末で断定と余韻を選ばされる。言い切ると強く、濁すと弱い。原文はその中間にいる
- 映画の文脈を足すかどうか。俳優の名前を訳注で出すと事情は伝わるが、曲の中では固有名詞が出てこない。出した瞬間に曲が説明になる
- 歌う人が2人いること。ラップの部分と歌の部分で口調が違うので、同じ人が語っている訳文にすると構造が消える
映画の映像を使った特別版もある
運営者の旧YouTubeチャンネルには、この曲の動画が2本ある。
この記事の上に埋め込んでいるのは通常版である。もう1本は、映画の映像を使った特別版として作られたもので、こちらから見られる。
曲は同じで、記事も1本にしてある。訳が2種類あるわけではなく、映像の作りが違うだけだからである。
語句解説
- see you again
- 別れ際の「またね」にあたる言い方。
goodbyeより軽く、また会うことを前提にしている。この曲では、もう会えない相手に向けてその言い方を使っているところに含みがある。日本語で「またね」と訳すと軽すぎ、「また会おう」と訳すと決意が強く出すぎる。 - 追悼歌(tribute song)
- 亡くなった人へ向けて書かれた曲。この曲は映画の主題歌でありながら、映画の外にいる実在の人物へ向けられている。物語の中の話と現実の話が重なる作りになっている。
- feat.(フィーチャリング)
- 主として名前が出る人とは別に、参加している歌手や演奏者を示す表記。この曲はWiz Khalifa名義で、歌の部分をCharlie Puthが歌っている。
- サウンドトラックの先行シングル
- 映画が公開される前に、サウンドトラックから先に出される曲。映画の宣伝を兼ねる。この曲は映画の公開前、2015年3月10日に出ている。
よくある質問
See You Againはどんな曲ですか?
2015年の映画『Furious 7(ワイルド・スピードSKY MISSION)』のサウンドトラックのために作られた曲です。2015年3月10日に、映画の公開前に先行シングルとして出ました。Wiz Khalifa名義で、歌の部分はCharlie Puthが歌っています。
誰への追悼ですか?
シリーズに出演していた俳優Paul Walkerへの追悼として作られました。2013年11月30日の自動車事故で亡くなり、映画の撮影中の出来事でした。
どのくらい売れましたか?
2015年に世界でいちばん売れた曲です。IFPIの集計で、売上と再生を合わせて2,090万ユニットにあたります。Billboard Hot 100では通算12週の1位でした。
賞は取りましたか?
第58回グラミー賞で3部門(Song of the Year・Best Pop Duo/Group Performance・Best Song Written for Visual Media)にノミネートされました。第73回ゴールデングローブ賞でも主題歌賞にノミネートされています。
動画が2本あるのはなぜですか?
運営者の旧YouTubeチャンネルに、通常の訳つき動画と、映画の映像を使った特別版の2本があるためです。この記事が上に埋め込んでいるのは通常版です。